真っ直ぐな線で切り取られた
この場所がわたしの住処
細長い建物はもう半分より上まで海に浸かっていて
みんな ずぶ濡れでいる
地面のすみずみに黒々とした大きな枝根が伸びてあって
みんな 束ねられている
でもみんなはそんなこと 気に留めている様子はない
わたしが異物だったりして と思って 号令をかける
気づいている人 いますか いますか いますか
大きな声を出しているはずだったけれど
どんな返事も聞こえない
気づいているのはわたしだけなのか
そうだったら救いがないな
ただ 分かち合えない気持ちなんて あるのだろうか
感情の重なる人間がふたり出会って
その合間ではじめて
心っていうものが生まれるんだ
内側で赤づいた臓物のことじゃないよ
失くした気でいたのは 相手が不在だったから
不透明な水の中にいては
意思のない枝根に括られていては
死んではいないだけでは
気づいてしまった人間
感じてしまった人間
この血のあたたかさ 見つけ合える
わたしたちは 心を作り出す
そこにお互いの血を 感情を注ぐ